Azure ポイント対サイト(P2S)VPN自動接続の設定

VPNクライアント接続によく困ること

別記事で公開されている手順で手動で(P2S)VPNクライアント接続を行い、GUIから接続設定は可能だが、VPNクライアント接続の際に、必ずポップアップで表示された[接続]ボタンを押さないと接続開始できない。
また、PC端末のシャットダウンやユーザーのサインアウトにより、VPN接続が切断されてしまい、バックグラウンドで接続し続けることもできない。このままでは、VPNクライアントの常時接続を維持することは不可能。

 

対策

下記の対策方法で、PC端末がスタートアップ時に、VPNクライアント自動接続を行い、バックグラウンドで接続し続けることも可能になる。

 

全体の流れ

Step1:ルート証明書とクライアント証明書のインポート

Step2:サーバー名またはアドレスの確認

Step3:新しい接続またはネットワークのセットアップ

Step4:VPNクライアント自動接続(タスクスケジューラ)の設定

 

Step1:ルート証明書とクライアント証明書のインポート

別記事の [Azure ポイント対サイト(P2S)VPN作成とクライアント接続]の[クライアントに証明書の配置]手順でルート証明書とクライアント証明書を配置する。

Azure ポイント対サイト(P2S)VPN作成とクライアント接続 - Justin-Qu’s blog

ルート証明書とクライアント証明書両方とも、証明書ストアを[ローカル コンピューター] - [信頼されたルート証明書機関]を選択する必要がある。

 

Step2:サーバー名またはアドレスの確認

以下のようにVPN接続先のサーバー名またはアドレスを確認する。

VPNクライアントをインストール済んでいない場合、別記事の [Azure ポイント対サイト(P2S)VPN作成とクライアント接続]の[クライアント接続] 手順で、VPNクライアントのインストールを実施する。

 

Windows スタートメニューから、[設定]を押す

 

[ネットワークとインターネット]を選択する

 

[VPN]を選択する

 

対象VPNを選択し、[詳細オプション]を押す

 

[編集]を押す

 

[サーバー名またはアドレス]の値をコピーし、後続のStep3手順に使用する

 

Step3:新しい接続またはネットワークのセットアップ

[コントロールパネル] > [ネットワークとインターネット]  > [ネットワークと共有センター]を開き、[新しい接続またはネットワークのセットアップ]をクリックする  

 

[職場に接続します] > [次へ]をクリックする

 

[いいえ、新しい接続を作成します] > [次へ]をクリックする

 

[インターネット接続(VPN)を使用します]をクリックする

 

[インターネットアドレス]に、Step2手順でコピーした[サーバー名またはアドレス]値を貼り付けて、[接続先の名前]を入力し、[作成]をクリックする

 

[コントロールパネル] > [ネットワークとインターネット]  > [ネットワークと共有センター] > [アダプターの設定の変更]をクリックする 

新しい作成のコネクタを右クリックで[プロパティ]を選択する

 

セキュリティタブをクリックし、以下を設定する

① [VPNの種類] を [Secure Socket トンネリング プロトコル(SSTP)] に変更
② [ 拡張認証プロトコル(EAP)を使う]を選択し、[スマートカードまたはその他の証明書(暗号化は有効)]に変更

③ [プロパティ]をクリックする

 

スマートカードまたはその他の証明書のプロパティ画面で以下を設定する

① [このコンピューターの証明書を使う] を選択
② [信頼されたルート証明書期間」一覧から、Step1でインポートされたルート証明書にチェックを入れる

③ [詳細設定]をクリックする

 

[証明書の選択を構成」画面で以下を設定する

① [証明書発行者]を選択
② 証明書一覧から、下記Step1でインポートされた2種類の証明書にチェックを入れる
 ・VPN構成時にAzureに登録したルート証明書
 ・上記ルート証明書と紐づいたクライアント証明書

③ [OK]をクリックする


スマートカードまたはその他の証明書のプロパティ画面に戻り、[OK]をクリックする

 

[ネットワーク]タブをクリックし、[インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)]を選択、[プロパティ]をクリックする

 

[詳細設定]をクリックする

 

[リモートネットワークでデフォルトゲートウェイを使う] のチェックを外し、

[OK]をクリックする

 

[OK]をクリックする

 

[OK]をクリックする

 

再度 [コントロールパネル] > [ネットワークとインターネット]  > [ネットワークと共有センター] > [アダプターの設定の変更]より、新しい作成のコネクタを右クリックで開き

[接続/切断]を選択する

Wi-Fi接続画面がポップアップされると、新しい作成のコネクタを選択し、[接続]ボタンをクリックする

 

VPN接続済みのステータスが表示されると、Step3の設定を正常終了とする

※初回接続だと、証明書確認の画面がポップアップされる可能性もある。

その場合、正しいクライアント証明書の選択を確認次第、[OK]をクリックすると、上記の接続ステータスが表示される

 

Step4:VPNクライアント自動接続(タスクスケジューラ)の設定

スタートメニューの検索欄に[タスクスケジューラ]で検索し、表示された[タスクスケジューラ]アプリを選択、[管理者として実行]をクリックする

※該当設定には、設定アカウントのローカル管理者権限が必要

 

[タスクの作成]をクリックする

 

[全般]タブを選択し、以下の項目を設定する

① 名前にタスク名を入力する

② 必要に応じて、タスクを実行権限を持つアカウントを設定する

③ [ユーザーがログオンしているかどうかに関わらず実行する] にチェックする
④ [最上位の権限で実行する] にチェックする
⑤ [構成] に [Windows 10] を選択する

 ※今回Windows 10端末で設定したため、[Windows 10] を選択したが、

  異なるシステムバージョンの場合、適切なシステムバージョンの選択も必要

 

[トリガー]タブを選択し、[新規]ボタンをクリックする

 

トリガー新規作成で以下を設定する

① タスクの開始に「スタートアップ時」を選択

② [遅延時間を指定する]にチェックし、遅延実行時間を選択する

 ※遅延実行を設定しないと、スタートアップ(OS再起動)の際に、Wi-Fi接続より

  VPN自動接続のタスクが先に実行されると、接続失敗になる。確実にWi-Fi接続後に

  タスクを実行させるため、このタスク遅延実行を設定されている

③ [OK]をクリックする

 

トリガーが作成されているステータスを確認する

 

[操作]タブを選択し、[新規]ボタンをクリックする

 

操作の新規作成で以下を設定する

① プログラム/スクリプト:Rasdial

② 引数の追加(オプション):Step3でコネクタ作成時に設定された[接続先の名前]を入力

  ※ここで設定された引数がVPNコネクタ名と一致する限り、タスクが実行される可能

③ [OK]をクリックする

 

<参考>
Rasdial | Microsoft Docs

 

操作が作成されているステータスを確認する


[条件]タブを選択し、以下の項目を設定する

① [コンピューターをAC電源で使用している場合のみタスクを開始する]チェックを外す

 ※電源を挿していない状態で、PC端末を起動する事例がよくある


[設定]タブを選択し、以下の項目を設定する

① [タスクを停止するまでの時間]チェックを外す

② [要求時に実行中のタスクが終了しない場合、タスクを強制的に停止する] チェックを外す 

③ [OK] ボタンをクリックし、タスク設定を完了する

 

タスクスケジューラのトップ画面で、[すべてのタスク履歴を有効にする]にクリックし、タスクの実行履歴を有効化する

 

新規作成のVPN自動接続タスクを右クリック、[実行する]を選択して、手動実行を試行

 

タスクの[履歴]タブより、実行ログを確認できる

 

VPN接続ステータスが「接続済み」になると、設定を完了。

次回、OS起動時にVPN自動接続も可能になる。

 

※接続はうまくいかない場合、VPNコネクタ設定か、タスクスケジューラ設定の問題を切り分け必要がある。上記のように、それぞれ手動実行の手順も記載されていため、それを参照してトラブルシュートも可能。

タスクスケジューラの実行に関して、各端末やユーザー環境の利用状況が複雑のため、細かい設定は、タスク実行履歴やWindowsイベントログを参考しながら、適切に調整する必要もある。

 

まとめ

以上、VPN自動接続ための各設定ステップ、及び手順をご紹介します。ルート証明書、クライアント証明書を信頼されたルート証明書機関へのインポートが本設定の前提条件となり、設定内容として、VPNコネクタとタスクスケジューラ設定の大きく二つとなります。

この設定を完了すると、VPNクライアント接続の際に、必ずポップアップで表示された[接続]ボタンを押さないと接続開始できないことはなく、OS起動時に自動接続するようになり、VPNクライアントの常時接続も可能になるため、運用にとって、大変便利な機能です。